ささみファクトリー

新作を中心に、見た映画のあらすじと感想を製造します。肝心なところのネタバレはしません。食べたカレーの報告もします。

「マンチェスター・バイ・ザ・シー」/Manchester by the Sea/監督 ケネス・ロナーガン

     マンチェスター・バイ・ザ・シー 映画 あらすじ ささみ

 

制作:2016/アメリカ/137分

監督・脚本:ケネス・ローガン

出演: ケイシー・アフレックミシェル・ウィリアムズカイル・チャンドラー

 

f:id:sasami_333:20170421173430j:plain   あらすじ

 アメリカ・ボストン郊外に住む孤独で無口でな男、リー。便利屋として生計を立てていた彼は、心臓発作で突然亡くなった兄の子供の後見人になる事に。16歳になる甥を育てようと彼と向き合おうとするものの、なかなか甥や周囲の街の人とも馴染めず、衝突も繰り返し、頑なに他人に心を閉ざしたまま。それは、リーが背負ったある悲劇的な出来事があったためであった。

2017年度アカデミー賞主演男優賞脚本賞受賞。

 

 

f:id:sasami_333:20170421173430j:plain 孤独な男と、曇天と、寂れた港

 

地味で静謐です。決して豊かとは言えない港湾都市(割と曇天)に起きた悲劇と、それを背負って生きなければなれない人の、その人しか分かり得ない孤独に寄り添ったしっとりドラマ。静かに心動かされます。全体的なしみったれ感(良い意味で)が、陽なアメリカから生まれたとは思えない。(孤独なおじさん、さびれた港湾地区、曇天・・ささみの好きな要素です)

 

主人公リーは、ある出来事をきっかけに生まれた街マンチェスター・バイ・シーを離れていたが、亡くなった兄の甥の後見人になるため、故郷に戻ってくる。以前は仲間とワイワイ遊んでいた故郷、でもその場所は彼にとっては辛い場所。そこで、兄が遺した16歳の多感な甥っこを育てようとするも、飲み屋でケンカはするわ、甥っ子ともぶつかるわうまく行かない。リーに、一体何があったのか?

 

 

f:id:sasami_333:20170421173430j:plain これ以上ぴったりな役者はいない。ケイシー・アフレックのハマりぷり

 

その悲劇は、中盤に観客にも説明される。うん、重い・・・。それを背負うのツライ・・・辛すぎる・・。やたらケンカばかりしたり、他人に暴言はいて自暴自棄になっているのも急にわかる気がする・・と事情を共有したのちは、彼は果たして、そんな悲劇の淵から再生できるのか??観客はじっと見守る事になります。

 

常に目が死んでいるリー。猫背、ボソボソ話すリー。いろんなものを背負いすぎて、別に生きたくて生きてないっす的なオーラが全身から出ています。この「消極的死に感」を出せるアメリカン役者、ケイシーアフレック以外にそうそういないような気がします。もともとマット・デイモンがやるはずだった役だそうですが、このしみったれたリアリティは彼にしか出せないものだったと思います。

 

f:id:sasami_333:20170421173430j:plain 見る人それぞれのちょっとした傷に寄り添う物語

 

物語の主題は、リーが絶望的な悲劇から救われて行くのか?ということに当てられています。リーは16歳の多感な甥とぶつかりながら向き合うことで、ほんのわずかの変化なのか、何か新しい感情も見えてきます。どんなにツライことで傷ついて心を閉ざしても、また自分から開いて他人と関わる事でしか、その傷は癒えないんだなと、ながーく淡々としたドラマの中で感じさせれらました。傷は完治しなくても、一旦放置はできる、そんな風に思いました。

 

この映画を見て・・・ささみのひとこと

                                            

           f:id:sasami_333:20170520021855j:image                                                                                       どこのシーンのことかは、見たらわかります。