コンドル/1975/シドニー・ポラック監督
コンドル
1975/アメリカ/Three days of the Condor/118分
監督:シドニー・ポラック
出演:ロバート・レットフォード、フェイ・ダナウェイ、マックス・フォン・シドー など
あらすじ
実はCIAの末端組織である「アメリカ文学史協会」にいるターナー(ロバート・レッドフォード)は、ある日昼メシを買いに出た隙に、何者かに仲間全員が銃殺される。 誰が何の目的で襲撃されたのかわからぬまま、ターナーはその場から逃げる。その後、CIA内部に裏切り者がいることがわかり・・
頼りない文系スパイをロバート・レットフォードが演じる「巻き込まれ型サスペンス」
80年代の大統領選を舞台にした「フロントランナー」をきっかけに、本物の70〜80年代の政治サスペンス映画を観たくなってレンタル鑑賞しました。
「大統領の陰謀」で伝説のボブ・ウッドワード記者を演じたロバート・レッドフォードが主役。彼が働く「文学史協会」という牧歌的なオフィスに急におっかない顔の暗殺者が現れ、全従業員がめっちゃめちゃに銃殺されるところから物語が始まります。誰に、何故襲われたのかわからぬまま、コードネーム“コンドル”ことターナーがNYの街を逃げ回ります。だんだんCIA内部に裏切り者がいるとわかって・・・という展開。
ヒッチコック風のサスペンス的な内容で先が読めずに観れるのですが、面白いのが、このターナーさんが実戦経験のないちょっと頼りないスパイであること。なんでも、世界中の本を読んで暗号や機密情報が隠されてないかを調べる役回りとのこと。そんな非効率な仕事があるの?と思いますが、どうやらターナーは本当に知らぬ間に機密を読み当ててしまったらしい。途中で「オレ、本しか読んでないし・・!」と吐露したり、暗殺者には「どうせ本ばっかり読んでんだろ!」とイジられる。でも本を読んで得た知識によって、実戦経験もないのにピンチを切り抜けたりもして、軟弱なマスターキートン感もある。
今のボーンシリーズやミッションインポッシブルのようなアクションスパイ映画の主人公にはいないタイプの、事務方スパイ。陰謀に巻き込まれているのも、この人そんな重要な人物なのかな?とうっすら思いながらも、物語は進みます。
おっかない顔の暗殺者の意外なプロ意識
ターナーが敵に追いかけられながらも、CIA内部の陰謀に気づき、真相に迫っていく後半。ささみがぐっときたのは、終盤でターナーが暗殺者とついに対峙したときのシーン。暗殺者がなぜかターナーを殺さない。なぜ?と問うと、「お前を殺すことは契約に入っていない」。「ヨーロッパに行けば、いい仕事があっておだやかに暮らせる」とターナーをリクルートまでしようとする。え?そんなに誇りを持って、安定した仕事として暗殺やってたの?と驚き、一瞬プロフェッショナルのスガシカオが脳内にかかりそうになる。暗殺者なりのプライドを持って任務に当たっていたのですね。
今の政治サスペンス映画やドラマが大好物で毒されているささみからすると、ちょっとテンポもゆったりしてて、誰が敵味方なのかちょっとまどろこっしい印象もありましたが、考え方が分かれそうなラストは色々な解釈ができるし、今はないワールド・トレード・センターの象徴的な使い方など、2019年に見ても感じるところの多い、なかなかの秀作でした。
この映画を見て・・・ささみのひとこと
どこのシーンのことかは、見たらわかります。
【DVDで見ました】
【これもシドニー・ポラック監督】