ささみファクトリー

新作を中心に、見た映画のあらすじと感想を製造します。肝心なところのネタバレはしません。食べたカレーの報告もします。

2018ベスト映画3

ささみが2018見た新作映画で特によかった5本を列挙します。

 

1  スリー・ビルボード

2  シェイプ・オブ・ウォーター

3  ボヘミアン・ラプソディー

4  フロリダプロジェクト 真夏の魔法

5   アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル

シェイプ・オブ・ウォーター 映画

 

 


ささみ 映画 「弱きものが自分のプライドを賭けて戦うイヤー」だった2018

 

ささみは、俗に言う「ホワイトトラッシュ」ものが好きです。「ホワイトトラッシュ」とは、アメリカの貧しい白人のことを指しますが、映画でもよく取り上げられる題材です。社会的に弱かったり、差別される側の人が、人にバカにされたりうまく社会に馴染めなくても、一筋の自分が自分たるプライドをもって何がしかと戦う物語は、胸をアツくする名作が多いと思っています。また主人公が対峙する問題が「貧困」や「差別」といった社会問題ではなくても、自分が犯した罪やウィークポイントと向き合い、昇華していく様を見事に描く映画に特に心惹かれます。というか、それが観たくて映画を見ているのかもしれません。

 

ささみ 映画 主人公の性格が悪いほど、映画が面白くなる

 

2018のベストに選んだ上位作品はほとんどそればっかりです。往々にして、「マイノリティーががんばる系」の良い映画は主人公の性格がとんでもなくひねくれていて、やたらと誤解を生みがちです。「スリー・ビルボード」も、トーニャ・ハーディングを主人公にした「アイ、トーニャ」も、とんでもなく性格悪くて、すぐ嘘つくし、問題解決の手段が殴るとか放火するとか暴力に頼っちゃう。そんな厄介者でも、一瞬ふと何かを背負った者しか見せない、ドキッとするまなざしを見せるんですね。「スリービルボード」も「アイ、トーニャ」も後半にそういったシーンがあるのですが、それは観客にしか見えない。自分の犯した事や運命を引き受けるような、一瞬の表情に、ああこの人が背負っているのはこんなに重いものなんだ、それに孤独に戦っているんだと思えてしまいます。そのシーンをぜひ見てほしいです。

 

ささみ 映画 声なき者の声を聴けるのが、映画

 

ボヘミアン・ラプソディ」「シェイプ・オブ・ウォーター」「フロリダ・プロジェクト」も、貧困や性的マイノリティ、聴覚障害など社会的には隅に追いやれてしまいがちな人たちが主人公です。特に「シェイプ・オブ・ウォーター」は深夜に働く掃除婦の女性が主人公。その主人公がアマゾンの半魚人と恋する物語。この「道ならぬ恋」は、さまざまな障害だらけ。そもそもそんな話、映画になるの?と観る前は思っていました。しかし、この恋物語をとってもとってもロマンティックに描いたギレルモ・デル・トロ監督さすがです。音楽や美術にもこだわりぬいたこの物語世界にとっても癒されました。社会の真ん中にいそうな白人の美男美女の恋じゃなくて、「見えないようにしている人たち」の切実な生き方に心うたれ、自分の中で大切にしたい映画のひとつになりました。